健康寿命を延ばすために、今すぐフレイル(虚弱)の予防を始めよう
日本では平均寿命が伸びていますが、健康で自立した生活を送ることができる「健康寿命」を延ばすことが非常に重要になっています。そのために避けたいのが「フレイル」と呼ばれる虚弱状態です。
フレイルとは、加齢によって心身が衰えた状態のことで、厚生労働省の記事によるとフレイルは健康な状態と要介護状態の中間の段階を指します。

フレイルに陥ると、転倒や病気のリスクが高まり、日常生活に支障をきたし、生活の質が大幅に低下してしまいます。
しかし、フレイルは早く対策を行えば元の健常な状態に戻る可能性があります。
フレイル予防の3つの柱
フレイル予防には、「運動・社会参加・栄養管理」の3つの柱があります。
一つ目が運動です。筋力やバランス能力を維持することで、転倒や虚弱状態を防ぐことができます。
二つ目は社会参加。家族や友人とのコミュニケーションや地域活動への参加が、心身の健康に良い影響を与えます。
三つ目は適切な栄養管理です。高齢者では食事量が減少しがちですが、バランスの取れた栄養を摂取することが重要です。
この記事では、特にこの3つの中でも運動に焦点を当て、フレイル予防にどのように役立つかを詳しく解説していきます。特に、「体軸を整えること」が効果的な運動を行うためのカギであることに注目し、その具体的な方法についてご紹介します。
運動の重要性~フレイル予防には運動が大切
フレイルは大きく分けて「身体的フレイル、精神・心理的フレイル、社会的フレイル」の3つの種類に分かれます。
「身体的フレイル」は運動器の障害で移動機能が低下したり(ロコモティブシンドローム)、筋肉が衰えたり(サルコペニア)するなどが代表的な例です。
東京都医師会の記事によると、フレイルの最も大きな原因の1つが筋肉の衰えです。
筋肉は何もしないと衰えます。
フレイル予防には、適度な運動が欠かせません。運動は筋力を維持し、バランス能力を向上させることで、転倒や身体機能の低下を防ぎます。
フレイル予防に効効果的な運動メニュー
フレイル(虚弱)予防には、身体の衰えを防ぎ、筋力やバランス感覚を維持するための運動が効果的です。一般的にフレイル予防に効果的とされている運動には、以下のようなものがあります。
- 筋力トレーニング
筋力が低下すると、日常生活での動作が難しくなり、転倒や怪我のリスクが高まります。自重を使った腕立て伏せやスクワット、軽いダンベルを使った筋力トレーニングが効果的です。これにより、足腰の強化や上半身の筋力維持が期待できます。 - バランス運動
バランス能力を鍛えることも重要です。特に高齢者では、バランスを崩して転倒するケースが増えるため、片足立ちや椅子を使ったバランストレーニングが推奨されます。こうした運動は、日常生活での安定感を高めることができます。 - 有酸素運動
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動も効果的です。有酸素運動は心肺機能を向上させ、血流を促進し、全身の健康維持に貢献します。
これらの運動を無理なく継続することで、フレイルを予防し、健康的な生活を維持することが可能です。
これらの運動は、フレイル予防に大きな効果を発揮しますが、実際には高齢者の多くが「運動がきつい」「動きが辛い」と感じることも少なくありません。
高齢期になると、筋力は自然と低下していきます。それを防ぐために運動が大事なのですが、運動すること自体が辛いと「運動しよう」と思っても運動ができないというジレンマに陥ります。
運動が辛い人におすすめの「体軸」を活用したトレーニング
特に運動が辛いと感じる高齢者にとっては、筋力が落ちている状態で無理に運動を始めると、逆に怪我をしたり、体に負担をかけてしまうこともあります。そうした場合、効果的に運動を行うために重要なのが「体軸を整える」という考え方です。
体軸を整えることで運動がしやすくなります。
体軸とは、体の中心にある軸を意識し、姿勢や動作を安定させることです。体軸を整えることで、筋力が弱っている場合でも無理なく体を動かすことができ、運動がしやすくなります。また、体軸がしっかりしていると、バランスが良くなり、転倒のリスクも減少します。
次に、体軸を意識した具体的な運動法を紹介します。
簡単に始められる!体軸を活用した具体的な運動法
運動が辛いと感じる高齢者でも、体軸を意識することで無理なく体を動かすことができます。ここでは、日常生活に取り入れやすく、体軸を鍛える効果的な運動法を紹介します。
- 体幹バランストレーニング
椅子に座った状態で行う体幹トレーニングは、体軸を意識するための簡単な方法です。背筋をまっすぐに伸ばして椅子に座り、両足を肩幅に開きます。この状態でゆっくりと片足を上げ、3秒間キープします。これを左右交互に5回ずつ行いましょう。この運動は、体幹を鍛えると同時に、バランス感覚も養うことができるため、体軸を整える効果があります。 - ペルビックティルト(骨盤の前傾・後傾運動)
床やベッドに仰向けになり、膝を曲げて足を床につけます。骨盤をゆっくりと前後に傾ける動きを繰り返し行うことで、腰や背中の筋肉がほぐれ、体の中心である体軸を整える感覚が得られます。1回につき10回を目安に行いましょう。 - 壁を使った体軸強化運動
壁に背をつけて立ち、頭、肩、腰、かかとを壁につけます。体をまっすぐに保ちながら、この姿勢を1分間キープします。この運動は、体軸をまっすぐに保つ感覚を体に覚えさせるため、普段の立ち姿や歩行時の安定感が向上します。
これらの運動は、特別な道具を使わずに自宅で簡単に始められます。体軸を意識して無理なく行うことで、運動に対するハードルを下げ、継続しやすくなります。
まとめ:フレイル予防の運動には体軸作りが鍵
フレイル予防には、運動が非常に重要です。しかし、高齢者の多くは体力の低下や体の痛みから、運動を「きつい」「続けられない」と感じてしまうことがあります。そんなとき、体軸を整えることが効果的な解決策となります。
体軸を意識してトレーニングすることで、身体のバランスが向上し、無理なく動けるようになるため、運動のハードルが下がります。体軸がしっかり整っていれば、筋力や体力が十分でなくても、安定感を持って運動を行うことができ、フレイル予防に大きな効果が期待できます。
今日からでも始められる簡単な体軸トレーニングを取り入れ、運動を習慣化し、健康的な生活を送りましょう。

